屋久島農園再生プロジェクト物語

1.父からの電話(2)

農園再生プロジェクト1

 

 

父は知らない間に起業して地域おこしを事業化するという夢に向っていた。

真面目で堅実な父がそんな冒険をするなんて夢にも思っていなかった。でも…面白そう。

中学校卒業と同時に屋久島を出て、鹿児島市内の寮のある高校に入って以来、大学、就職と島外で過ごしてきた。

当時の屋久島の高校では進学はあんまり考えられなかったし、仕事だってあんまりない。

だから、15歳の頃からもし屋久島に帰るとすれば仕事を終えてリタイヤした後のことだという感覚だったし、両親もそう思っていたはずだった

そんなんだから、30歳で屋久島に帰るなんて全くの寝耳に水だった。

 

 

父の話では、集落の観光地の千尋の滝に集落の人達で作った、げじべえの里千尋販売所というおみやげ屋兼直売所があり、山の販売所と組み合わせる形で里の販売所を作りたかったということだった。

それが父の始めた会社、有限会社原の里が運営している、はらの里やまんこ売店という直売所だった。

地域の農家さんが作った野菜や果物を販売するお店で、地域の寄り合い所として機能させたいんだということだった。

その原の里が新しい展開に行くかもしれないから、それを手伝ってみなか、と。

隣の集落にぽんたん館という屋久島町所有のおみやげ屋兼直売所がある。指定管理者によって運営されているわけなんだけど、その指定管理者に名乗りを上げたいというのが新しい展開だった。

やまんこ売店、げじべえの里、ぽんたん館が合わされば、線の運営から面の運営にすることができる。

たしかにそれらが同じコンセプトで動けば面白いことになるかもしれない。

詳しいことはわからないけど、地元が新しい動きをしていると聞けば、ワクワクする。自分に郷土愛的なものがあるんだとちょっと意外だった。